蒼 穹

 19. こんなものが? なぜここに?

 博士たちがなにやら揉めている間に、甚平はジョージ少年を連れ出していた。広大な基地の中を探検に出かけたのである。すでに通電しているので、スイッチひとつでドアが開閉する。少年はただ目を瞠った。この時代、一般人の生活の場に自動ドアというものは存在しなかった。甚平の自動車修理工場のシャッターも手動で上げ下げしていた。

 甚平はかつて慣れ親しんだ技術への懐かしさもあり、スイッチを押すのにも気取った手つきだったりする。「こりゃあ、おまえにはちょっと刺激が強いよな」なんて言いながら、格納庫のものらしいシャッターを開けてみた。シャッターがあがっていくのと同時に内部の空間に照明がともった。そこにあったものは――

 甚平は両手でごしごしと目をこすった。まさか。こんなものが? なぜここに?

 あんぐりと口を開けている甚平のとなりで歓声があがった。「なにこれ!! かっこいい!!」
「し――信じられねえ――」

「あ。竜おじさんに父さん? その顔どうしたの!? まさか、殴り合い!?」
「男と男の、大人の話し合いをしただけだ。ひよっこは引っ込んでいなさい」
「殴り合いなんかしてる場合じゃねえよ! 見てくれよ、これを!!」
「これは――夢なのー―?」




Page Top